Everyday is a No-Money Day

 これほど世間をときめかせようとはついぞ想像しなかったが、そんな一読者の私の想像をはるかに超えて世代を問わず多くの読者を獲得した在英ライター、コラムニストのブレイディみかこ氏による『ブロークン・ブリテンに聞け』に"It's a No-Money Day"というフードバンクを利用するシングルマザー家庭が描かれる絵本が登場するが、我が家も毎日がNo-Money Dayであり、今日明日の食べ物のことをいつも考えている。昨年、私が胃を悪くして労働時間が減少したことによって、笑うしかないくらいマジで貧乏なのである。Seriously bimbo! Bimbo! そういえば、私の大好きな大瀧詠一の曲にも「びんぼう」というのがあった。大瀧の詠ちゃんが、うれしそうに何度もびんぼうびんぼうと連呼する素敵な歌だ。貧乏というのは深刻だが、びんぼうという音の響きが実はちょっとというかかなり好きかもしれないと思うことがある。さっき書いてみてアルファベット表記も悪くないなと思った。B-i-m-b-oだぜ! それはともかく、うちがマジで貧乏なのはひとえに私自身の抱える数多の問題のせいなのであり、アカデミック・エリートの同居人(政治学者)には年がら年中苦労ばかりかけており、それについてはおいおいじっくり書くことになろう。そういうわけで、貧乏人には年末年始もクソもへったくれもなく、一応大晦日と三が日は仕事こそなかったが、紅白を見る以外に年末らしいこともせず、エンゲルス『イギリスにおける労働者階級の状態』とブレイディ氏の過去の著作や単行本未収録のブログ記事、インタビュー等をあれこれ読んでいるうちに、なんもめでたくない心境のまま、あっけなく新年を迎えた。そして、今日、新年早々面接に行って、貧困から脱するための新しい賃労働の仕事が見つかった。これでたぶん飢え死ぬことはないはず。たぶん。借金取りが押しかけてくることもないはず。たぶん。(ちなみに、実際に押しかけてこられた経験は、いくら貧乏とはいえ、さすがにない。)今年は同居人にもっと楽な生活をさせてあげたい。いや、人並みの生活を送らせてあげたい。どうやら本人はいやでいやで仕方ないらしい明日の博論提出、どうかつつがなく終わりますように。終わったらきみの好きなヴィクトリア・ケーキでも焼くよ。